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le temps vole

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新緑

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『ある過去の行方』を見ました。

ややこしい家庭の大人や子供たちのこころ模様といったものがややこしくなく描かれていました。巧い映画ということですね。

劇中人物たちの感情生活の中心にひとつの事件が隠されていることが次第に明らかになるのですが、しかし事件の真相は明かされそうで結局のところ私たちにはさいごまでわかりません。

タマネギのように、皮の一枚一枚にこそ真実があって、たぶんすべてを剥き終わったときには何もないのかもしれません。映画はその一皮ずつの宙吊り(サスペンス)で2時間強を退屈させません。

同じ監督の『彼女の消えた浜辺』でも、語り口のサスペンスは見事でしたが、カフカ的な迷宮世界に興味はないにしても、無くてもよいと思えるラストを持ってくるところが私の個人的な感想としてはビミョウかな。

それにしてもヌーヴェルヴァーグはもちろんカソヴィッツにいたるまで、過去のほとんどのパリを舞台にした映画とちがってオーラを消し去ったパリの街が新しいです。
by koyu320 | 2014-05-01 22:39 | 映画